プーアール舎 peu/art cottage

20世紀美術を研究しています

レビュー 石原友明芸術資源展 シンポジウム「もうこれで終わりにしよう」240330

みなさま 

こんにちは、プーアール舎です。

標記の件、展示とシンポジウムについて、参加させていただいた感想as忘備メモです。

 

☆関連シンポジウム「もうこれで終わりにしよう。」

   石原友明、佐藤知久(同センター教授)、岸本光大(同大@KCUA学芸員)、

   光田ゆり(プーアール舎主宰)

美術関係者が埋める会場を、ステージ底から眺めるだけで圧巻。

等倍に(実質に徹して)話そうとされる石原氏は、誠実さと理知のオーラを発光。

佐藤氏は芸術資源の収集と編集に心血を注ぎ、結果は抽象的にクールに展示する美学。

教え子でもある岸本氏が回顧展を企画、母にもわかるように美的に展示し、美術史的なものを除去して「かつて哲学書を片手に制作していた時代」の作家展をあえてSELFIESと呼んだ。石原作品群を、20世紀美術を参照して生まれた(面もある)と思っている美術史系?・異教のわたしは揺さぶられる。

石原氏がシンポタイトルを表記のように名づけたのは、わたしも感じている「現代美術」終焉後の空漠と関係があるかなと想像していたのだが、実際そうなのだとも思えたのだが、空爆の地のパラレルワールドには、別の美術がとっくに成立し、そこから見られた新たな「現代美術」があると実感した。

 

★石原友明展 SELFIES @京都市立芸術大学C棟7F大学院政策室701-708

 そのたびに「自分」を新たに定義し直し、メディアも手法もからりと変えながら自写像の連鎖を編み出してきた作家にふさわしい、工夫のある回顧展。

 各室を二分し、1+1シリーズづつ自然光のなかに展示。元来のスタイリッシュさが際立ち、コンセプトが映える。初出時と別の様相に見えた。完成作のみ、資料類なし。

 独立した部屋が長い廊下で断続する構成。先を見通せないスリリングさを楽しめた。

 

★石原友明芸術資源展 @芸術資源研究センターアーカイビング・ラボ

 2冊の本。作家の文章と、作家に対して書かれた文章の2分冊。最初期作と最近作が裏返したように組み合わされる2点展示。機材室に過去作のオートスライド展示。

 紙資料「資源」とともにある自分には、資源の抽象化とともに、ハードカバー本、オートスライドのアナログ感が嚙み合ったハイブリッド性が印象的。じっくり読みたい2冊に届きがたいかんじがするのも、それが「展示」というメディア特性。